【コラム第111回】地方創生を考える

衆議院解散で行方が懸念されていた「まち・ひと・しごと創生(地方創生)関連法案」ですが、先月の国会で基本法案が可決、成立しました。
アベノミクスの第3の矢の鍵を握る政策として期待される「地方創生」は、今回の総選挙の大きな争点でもあります。安倍政権にはしっかりとした公約を立て、実効性ある施策の実行が期待されるところです。

私は「まち・ひと・しごと創生会議」の有識者委員を務め、民間経済人としての立場から発言させていただいております。かねてより日本の再生のためには地方の活性化こそが鍵となると主張してまいりましたが、「地方創生」が成功するためにはこれまでの行政の「地方に人の雇用をつくる」という視点での発想ではだめだと思っています。
つまり地方に新たな事業を生み出していく、ということが大切であり、「開業率を10パーセント程度(現在約4.5%)にする」という安倍政権の目標は、地方こそが担うべきであると思っています。
いかにして地方で創業を生み出していくか、あるいはいかにして地方にイノベーションを起こす環境をつくっていくか。そこにチャレンジしていく人材を地方に呼びこみ、あるいは育てることができるかがポイントだと考えます。首都圏にはそのための人材がたくさんいます。しかも内閣府のアンケートでは、4割の人が地方へのIターン、Jターン、Uターンを希望しているというデータも出ています。
これまでのように、国が地方に交付金を配分するというやり方では駄目だと思います。そんなカンフル剤のようなやり方では、根本的な問題解決にはなりません。この仕組みを根本から変えて、民間プレーヤーが主体となった新規事業へのチャレンジやイノベーションへの取り組みを起こす仕組み作りが求められています。

地方の有力な企業が、ベンチャーやイノベーションへの取り組みを支援しやすい仕組みづくりも大切ではないでしょうか。地方の経営者を巻き込み、民間により活力を生み出す構造を作っていくものです。
明治の日本も、三井、三菱、大倉といろいろな財閥が産業をつくって大きな発展をもたらしました。主役が民であるべきだというのは、平成の今も変わりません。民が事業を作っていかなければ、地方再生は絵に描いた餅に終わります。官が仕事をつくり出すのは無理で、多くの第3セクターの失敗もそれを物語っています。
チャレンジする人材を育て引っ張り上げる、もしくは地方の企業がイノベーションを起こし新たな事業を生み出し、日本を再生させる。地方創生について大きな注目が集まっているこの時期に、「まち・ひと・しごと創生会議」の有識者委員という大役を仰せつかった機会を無駄にすることなく、私のこの考え方をこれからも積極的に発言してまいりたいと思います。

                                〆