【コラム第118回】日本版CCRCについて考える

政府は、東京から地方への高齢者の移住を促進するため「日本版CCRC」構想を進めています。基本コンセプトは「健康な段階から入居しできる限り健康長寿をめざすことで、高齢者が地域へ溶け込み自立した社会生活を送って、地元の多世代の住民との交流も図っていこう」というものです。
民間有識者でつくる日本創生会議も、高齢者に関する地方移住の提言をまとめました。医療や介護の受け入れ態勢が整っている41地域を候補に上げ、東京圏から移住を促すべきだとしています。その移住候補地の一つには、新潟県上越市もあがっています。
この日本創生会議の提言については、地方でも賛否両論があるようですが、「まち・ひと・しごと創生本部」の行った地方自治体調査では、約1割の地方自治体が取り組みを行う意向を示しています。

高齢者の地方移住に関しては、わたしが代表を務めるNSGグループの高齢者施設にも、すでに入居者が首都圏から兄弟を呼び寄せるなどのケースが増えています。また、県内の方が冬場だけ利用するなどのケースもあり高齢者施設の利用形態も多様化しています。
こうした状況を踏まえて考えますと、地方移住のあり方の一つの形として動きが出ていることは評価できます。しかしその前に取り組むべき課題はたくさんあると思います。
最も大切なのは、地場の企業を中心とした地域経済の活性化です。若い人たちを含む各世代が、魅力を感じる地域にすることが基本ではないでしょうか。イノベーティブな中堅企業が存在し、若者がチャレンジ精神を発揮できる。そしてスポーツや文化面でも充足感に満ちた地域にしなければ、本質的な問題解決にはなりません。

既存施設の需給バランスからアプローチするのは、視点が違うと考えています。施設が空いているからという発想では、強力にこの施策を推し進めることは難しいのではないでしょうか。これまでの地域の暮らしに立脚し、地域経済や地域社会と結びついた施策でなければ成功は覚束ないと思います。
一定の経済規模を持つ中核都市こそ、そうした多様な生き方を実現する場としてふさわしいと思います。地方創生が中核都市を活性化する効果に期待しています。                            
 
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