【コラム第123回】農業の6次化は新産業創出の切り札

国家戦略特区(農業特区)としてその取り組みが注目される新潟市で、このほど新たな「食」のビジネスチャンスを広げようという「フードメッセinにいがた」が開かれました。食をめぐる様々なジャンルの企業が出展する「食の総合見本市」に、多くの来場者がありました。
このイベントで私は、新潟経済同友会の代表幹事として、「6次化は新産業創出の切り札」と題する基調講演を行わせていただきました。

新潟県においては、農業が産業の柱の一つとして経済の基盤を支えています。その農業や食は今、TPPなどの社会的背景の変化への対応が急務となっています。そして農業のイメージは、大きく変わってきました。それは農業について、「やりがいがあり」しかも「稼げる」産業であるという認識が生まれてきているということです。
私が代表を務めるNSGグループの新潟農業・バイオ専門学校には、農家の後継者はほとんどいません。多いのは、一般のサラリーマンのご子息です。いま農業に、いわゆる「3K」のイメージは消えつつあり、無限の創意工夫ができるビジネスの場としてとらえられてきている印象を受けます。

そうした「農」と「食」は、他の分野と結びつくことでさらにイノベーティブな産業となります。例えば農産物を原料にした「薬」「健康食品」「化粧品」の製造、観光分野での「観光果樹園」「ワイナリー」「酒蔵」「味噌倉」「農家レストラン」などの見学などです。そうした結びつきは、販売チャネルを拡大し可能性を広げます。
このように変貌しつつある農業が6次化、さらには農業と教育や福祉、医療、エネルギー、環境などの他の分野との連携を進めることで、安心・安全で暮らしやすい都市の創造を図る取り組みを進める「12次化」を進めていくためには、何が必要なのでしょうか。
最も大切なのは、従事者が経営者の視点を持つことだと思います。例えば大規模化のためにはさらなる効率化と経営力が求められますし、小売や加工、流通、情報といった異業種との連携も重要です。 

フードメッセはまさにそうしたニーズに応える場だったわけですが、多様な業界との交流はイノベーションや新たなビジネスの創出のきっかけとしてとても重要です。
新潟は農業を一つの基幹産業としてきた土地柄です。わたしどものグループには農業、バイオテクノロジー、食品加工、花卉園芸を学ぶ「新潟農業・バイオ専門学校」があり、農業系大学の開学へ向け準備を進めています。
これまで見落としがちだったマーケティングやブランド化の視点、そして科学としての農業の発展を目指す学校です。産学連携は6次化への大きな鍵となってくると思います。

農業と食には、自然の恵みを受けて食を生産し我々人間の食を支える「不易」としての価値。そして、消費者の動向をつかみマーケティングの発想で新しい価値を生み出す「流行」。その二つの視点が必要であり、その意識を持って明日の農業、明日の食を担う人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
農業特区に指定され、フードバレー構想を進める新潟市。農と食のクラスターを形成し、これからも日本の農と食を牽引する存在になることを確信しております。

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