【コラム132】地方創生に向けた地方発のベンチャーファンド

6月末、地方創生に向けたベンチャー支援・育成を行う18億円の新ファンド「地方創生新潟1号投資事業有限責任組合」が組成されました。このファンドは、新潟県内の金融機関、事業会社、国の行政機関である中小企業基盤整備機構が出資したもので、新潟ベンチャーキャピタル(株)が運営し、新潟県の地方創生に資する企業を中心に投資を行います。

新潟ベンチャーキャピタル(株)は既にFULLER(株)と(株)ウッドプラスチックテクノロジーを投資先として決定し出資を行っています。FULLER(株)は、スマートフォンアプリに特化したテクノロジーとサービスを提供するベンチャー企業です。2名の代表取締役の出身地である新潟に開発拠点を設立し、新潟におけるIT人材の雇用創出や、同社の優れたITサービスを新潟県内企業に提供することで地域企業の活性化に寄与することが期待できます。(株)ウッドプラスチックテクノロジーは、東京大学大学院農学生命科学研究科の安藤直人教授が研究開発した技術を活用し、木材やプラスチックを活用した各種最終製品の開発を行うことを目的として設立された東京大学発のベンチャー企業です。新規事業推進のため、新潟県内に生産・販売拠点を設置する計画があります。

 

このファンドは、経済産業省より産業競争力強化法に基づく「特定新事業開拓投資事業計画」として認定を受けた日本初の地方ファンドです。認定されたファンドを通じてベンチャー企業へ出資した企業は、ベンチャー投資促進税制を利用し、出資額の80%を上限に損失準備金を積み立て、損金算入することができます。主に地域に根ざした中堅企業、中核企業が出資し、地域のベンチャー育成のために設立するファンドは通称「旦那ファンド」と呼ばれています。地方に立脚し地域経済の中核を担う企業の経営者がメンターとなり、プロのGPを支えながら起業家にリスクマネーを提供する仕組みです。かつての日本では各地域の旦那衆が優秀な若者に目をかけ創業を支援することにより、地域の殖産興業が図られていました。私は日本ニュービジネス協議会連合会の会長として、金融審議会のワーキンググループの専門委員などを務めこうした制度の設立を提言してきました。

このようなファンドが各地方で組成され投資活動を行うことで、ベンチャーを育て、イノベーションを促進し、地方創生を進めることができると思います。現在この認定を受けることができるファンドの規模は概ね20億円以上という要件がありますが、規模が概ね10億円に引き下げられるよう要件緩和を提言しています。全国各地でファンドの組成が進み、地方創生がさらに加速されることを期待しています。