クラウドファンディングを通じて伝わる明和義人の心【コラム142】

毎年8月24日に新潟市の上古町で「明和義人祭」というお祭りを行っていますがご存知でしょうか?

明和義人祭とは、フランス革命よりさかのぼること20年前に、湊まち新潟で起きた「明和騒動(1768年)」にちなんだお祭りです。藩からの重税に苦しんでいた新潟湊の町人たちが立ち上がり、藩に代わって自らの手で町の政治を取り仕切ったという自主・自立の精神に満ちた歴史上の出来事です。そのリーダーとして活躍した中心人物が涌井籐四郎と岩船屋佐次兵衛ですが、最終的には藩に捕らえられ打ち首になってしまいます。この二人の活躍は「明和義人」としてたたえられ、古町芸妓の口伝により密かに伝えられてきました。明和義人は明治時代に入り、私が宮司を務める古町愛宕神社境内社の口之神社に祀られるようになりました。地域のために奮闘した明和義人を慰霊・顕彰し、その精神やエネルギーを現代に伝えようと始まったのが明和義人祭です。

地域の商店街や賛同者の皆さんと作り上げてきて、今年で10年目を向かえました。今年は「江戸時代へタイムスリップ」というお祭り全体のキャッチフレーズを掲げ、出演者は江戸時代の町人の衣装を着て、スタッフは浴衣を着用、来場者への浴衣の貸し出しも行い、江戸時代の風情を演出します。また、新しい取り組みとしてクラウドファンディングを通じて、明和義人祭の目的や志をインターネットを通じて訴えかけ、共感、賛同いただいた方に支援を呼びかける取り組みを始めました。

地域に古くからあるお祭りの多くは一種の宗教行事で、感謝や祈り、あるいは慰霊のために神仏や祖先をまつる儀式としての目的がありますが、お祭りは地域の商店街、町内会、市民の皆さんが参加して、一体感を得る場にもなっています。地域の人たちが一緒に何かを成し遂げることで、郷土愛や地域愛を強く感じることができます。

また、自分は直接的には参加しなくとも、地域愛、郷土愛を感じることはあります。新潟を離れて暮らしているためになかなか関わることができないけれど、故郷を懐かしく思う気持ちを持つ方や、明和義人の物語に強く共感し自分も何かの形で応援したいと思ってくださる方々にもクラウドファンディングを通して、地域とのつながりを感じてもらうことができるかもしれません。

お祭りという地域に根ざした古くからあるものと、クラウドファンディングという新しいシステムが結びつくことで、明和義人のエネルギーや想いがさらに幅広く伝わり、広がっていくことを期待しています。〆