新潟の農業活性化を目指して~ベジ・アビオ本格始動~【コラム146】

私が代表を務めるNSGグループが支援する「株式会社ベジ・アビオ」が、環境制御型の苗生産事業と施設園芸事業を行う施設を完成させ、先日竣工式を行いました。
株式会社ベジ・アビオは、ABio新潟農業・バイオ専門学校の運営や、新潟食料農業大学の新設などに取り組んでいる当グループが全面的に支援する農地所有適格法人です。
同社は、新潟県において立ち遅れている「ユニット型植物工場による苗生産」と「環境制御型太陽光植物工場」の事業を行います。

新潟県は、米をはじめ野菜についても作付けが多く、野菜苗の需要が大きい地域です。近年は苗生産と栽培の分業化が進み、自家苗から購入苗にシフトしている状況ですが、これまで新潟県内で苗生産を行っている業者は少なく、購入苗のほとんどが県外から供給されています。
ベジ・アビオが今回建設したのは新潟県内初となるユニット型植物工場です。この植物工場は、閉鎖した空間の中で人工光や温度、炭酸ガス、養液などの管理を24時間行い、常に育苗に最適な環境を作り続けることができます。気候による影響を受けることがなく、高品質な苗を年間を通じて計画的に生産することができます。生産した野菜苗、薬用植物苗、花き苗は同社の施設園芸部門への供給とともに、種苗販売会社と連携し、県内農家へ販売する計画です。

また施設園芸事業では、植物工場による高糖度トマト生産に取り組みます。新潟県のトマト生産の全国順位は作付面積が6位、単位(10a)当たり収量が44位と、作付面積は大きいもののほとんどが露地・簡易温室栽培のため、収穫時期が限られ単位当たり収量が低いことが課題となっています。ベジ・アビオではICTを活用した環境制御型太陽光植物工場を建設することで、供給が減る冬にも高糖度トマトの安定供給を行っていきます。
ICTを活用してビニールハウス内の温度や養分、水分などのデータをクラウド上で管理し、ハウス内の環境を自動制御します。温度や水分、養分の調節をPCやスマートフォンから遠隔操作することもできます。

ベジ・アビオの苗生産部門で生産される苗の一部は同社の施設園芸部門へ供給され、苗から農産物までの一貫生産により高糖度トマト生産を行います。ベジ・アビオではこの農業生産システムを確立し、新しい農業モデルとして新潟県内に普及しようと考えています。またICTの活用による先進的なスマート農業を推進し、若者の就農を促し、将来新潟県の農業を担う人材育成にも貢献してまいります。

日本の農業は、担い手不足などの課題がある一方で、ICTを活用して生産性を高めたり、高付加価値の作物を栽培したりすることで、大きく発展する可能性を秘め、いま大きな変革期の中にあると思います。ベジ・アビオが取り組む新しい農業モデルと人材育成が、新潟県のそして日本の農業活性化の一翼を担う存在となることを期待しています。