【コラム第55回】 日本ベンチャー学会を開催

 さる11月14日、15日の2日間、新潟市で「地域活性化と地域発ベンチャー」をテーマに日本ベンチャー学会の全国大会が、私が総長を務める事業創造大学院大学を幹事校に開催されました。
  私はこの学会の副会長を務めていますが、2日間で述べ419人の方に参加していただき、内容のある充実したものになったと思います。学会の開催に当たりましては、多くの組織、企業からご後援、ご協賛いただきました。心より感謝しております。厚く御礼申し上げます。
  1977年に設立されたこの学会は、ベンチャーを中心とした企業の活動について理論的かつ実践的な研究を行うものです。研究者はもちろん、企業や官公庁からの会員も多いのがこの学会の特徴です。
  起業家の育成、新事業の創出を掲げて開学した事業創造大学院大学ですが、12回目となる本学会全国大会の幹事校を務めさせていただいたのは大変名誉なことであり、無事に大役を終えたことに安堵しております。

  学会では初日に、ベンチャー育成の分野では世界№1である米国バブソン大学のフラッシュ教授による基調講演が行われました。バブソン大学は、事業創造大学院大学が、開学以来様々な形でご協力をいただいている大学です。ご講演の中でフラッシュ教授は、バブソン大学の設立依頼の経緯と現状についてご報告されました。
  以下フラッシュ教授の「地域におけるイノベーションとビジネス・スクールの役割」と題したご講演内容の一部をご紹介します。

  「バブソン大学は、アントレプレナーシップ教育のパイオニアとして、新しい地平線を模索し、以前には試みられていないことを率先して試行する機関として存在する。現在、学部数は10、学生数は1,800人超、大学院生数が1,600人超。学生の出身地は57各国に及んでいる。
  学部のうちの一つ、アントレプレナーシップ学部には、多彩な経歴を持つ世界最大級の教員がいて、うち半数は創業者や起業家、ベンチャーキャピタリストである。バブソン大学の成功は、全ての行動にアントレナーシップを織り込むことを基本前提とし、優れた人材やプログラムを得ることに務めたことに要因がある。
  プログラム面では、ビジネスモデル開発への参画、創業資金の貸与、起業を目指す学生への専用スペースの提供やメンターの支援などが用意されている。バブソン大学は、自校のポジショニングをさらに明確にし、フォーカスの効いた拡大策の検討が必要と考えており、世界のあらゆる場所で、社会・経済価値創造の先導者を教育することで社会貢献を果たしてゆきたい。」

  バブソン大学がどこに自らの価値を見出し、どのような役割を社会の中で果たしてゆこうとしているのかが明確に理解できるご講演で、私も学校法人の経営者として興味深くお聞きしました。
  フラッシュ教授に続いて私も基調講演を行い、「地域意識の醸成とスポーツの役割~アルビレックス及び欧州サッカーチームの事例を元に」と題した講演を行いました。
  アルビレックスが実践してきた、我が国のパイオニアとしての地域密着型のビジネスモデルについて、さらにアルビレックスの運営で参考にしたスペインのFCバルセロナなど欧州のサッカークラブの現状などについてお話しました。
  この他初日には、「グローバル視点からの地域活性化と、新潟の持つ技術集積の可能性」と題したパネルディスカッションが行われました。 

  学会2日目は、5つの分科会に分かれた研究発表、意見交換。さらに、県醸造試験場の渡辺場長、コメリの捧賢一会長、県酒造組合の斉藤吉平会長、佐藤食品の佐藤功社長をパネリストに迎え、事業創造大学院大学の原敏明副学長のコーディネイトによる「農商工連携と食品加工産業~地域発ベンチャーへの示唆~」と題したパネルディスカッションが行われました。食と農は、これからの新潟にとって非常に大切で発展性のある分野であり、テーマ設定もディスカッションの内容も非常に好評でした。
  2日間で延べ419人から、会場のNSG学生総合プラザSTEPを訪れていただきました。新潟における新たな事業創造の方向性について、大いに議論の交わされた学会となりました。

池田 弘