【コラム第45回】 地域で生きる幸せとは

  私が塾長を務めております「にいがた未来塾」、1月は「地域で生きる幸せとは」をテーマに私が講師を務め、若者たちと意見交換しました。まず、冒頭の私の講演を簡単にご紹介します。

 「新潟という地域に住む幸せをもう一度考えて欲しいと思います。皆で応援できるアルビレックスがあって、地域のお祭りがあって、総踊りのような芸能イベントがあって、30分も車を走らせればゴルフ場に着く。こんな豊かな生活が果たして東京で送れるでしょうか?素晴らしい豊かな四季の中で、快適で文化的な生活を、家族や仲間たちと送ることが出来るのです。
 
  こんな新潟ですが、一番の問題は働く場が少ないことです。新しい職場を産み出すための新たなビジネスを是非考え立ち上げていただきたい。県外や外国を市場にした企業を産み出すことが活性化に必要です。県内でのパイの食い合では経済力は強くなりません。インターネット時代の今、顧客を県外や国外に求めるビジネスだって十分可能になりました。私はそうした新たな事業創造をサポートする側として、これまでも様々なことを実践してきました。
 
  今、全国の多くの地域が潰れかかっています。地方の危機を救うために、今の国の仕組みは地方で意思決定できるように変えた方がいい。分別ある50歳代、60歳代の首長が、若い官僚に頭を下げて予算をもらうような仕組みはおかしい。だが、それを変えるのは大変な抵抗があるでしょうし、今議論されている道州制だって消えてゆくかもしれません。
  しかし例え分権が果たせなくとも、地域に良い企業があればよいのです。元気な企業は地域全体を活性化します。ユニクロは山口に本社があり、地元に税金を落としている。本社機能が新潟にあることが大事なのです。大企業の工場や支店は業績が悪化すれば撤退していきます。
  私は、人生最高の幸せとは、命を賭けることのできる仕事を見つけることだと思います。その一つの方法が起業です。新しいビジネスを成功させる人が、一人でも多く出て欲しいと念願しています。」

  私の講演の後、出席してくれた若い塾生たちからはこんな意見や感想が出ました。
 「高知県出身で新潟で働いています。とても生活レベルが高い土地だと思います。新潟には誇れるいろんなものがあると思います。提案ですが、ウオーターフロントとしての魅力をもっと出すために、毎日花火を上げたらどうでしょうか。」
「東京とは違う人と人とのつながりがある街だと思います。他の人の幸せも考える風土があります。では何故人が流出しているのでしょうか?何かが足りないのでしょうが、新潟の良さをもっと伝えることが必要だと思います。」
「新潟に来たいと言った東京の友人を招いて、私の良く行く海、川、お菓子屋さん、温泉を案内しました。すごく喜んでくれました。何気なく感じている新潟の暮らしの幸せを改めて感じました。この良さをもっと伝えられたらいいと思います。」
「この地域を良くする事が、自らの幸せになるという気持ちを持てれば、出てゆくことはないのにと思います。」
「早稲田大学の2年生ですが、卒業後は新潟の街つくりに取り組みたいです。この塾のようないろんなテーマで話し合える場があること自体が幸せの一つだと思います。高田馬場の居酒屋で<新潟を語り合う会>を開いて活発に意見交換しています。」

 皆さん、新潟の魅力をいろんなところに見出してくれているようです。そして、このみらい塾に参加することの意義も感じてくれているようです。
  こんな質問も出ました「企業の経営において絶対に欠かせないことはなんですか?」私の答えは「継続してゆくために、まずは食べてゆけるようになることです。NPO法人であっても食べることができなければ夢は追えません。関係者に迷惑をかけないためにも、まずはそこなのです。」
  またこんな質問も出ました「地方にあって成功する企業にする秘訣はなんですか?」私の答えは「その分野で日本一の企業になる、と言う目標を掲げることです。企業はそのために何をやれば良いのかが見えてきます。」

  こんなやり取りは私にとっても大いに刺激になります。毎月のにいがた未来塾は私を活性化する大事な時間でもあるのです。

池田 弘