【コラム第35回】 スピードパーク新潟

 いよいよ、この4月5日に日本海側初の本格的モータースポーツ施設が、新潟県胎内市の中条中核工業団地にオープンします。
 施設面積約4.7ヘクタール。メインである全長1,038メートルのカートコースは、全日本カート選手権はもちろん中国・台湾・マレーシア・フィリピン・日本を転戦するアジア選手権まで開催が可能な公式コースで、パドックも完備。多目的広場、ミニオフロードコースも併設されています。
 立派なコースを所有しますが、目指しているのはスピードを追う競技開催だけではなく、総合的な「モータリゼーション」とのこと。
 「モータリゼーション」、すなわち「自動車の大衆化現象」(『大辞泉』)。これを仕掛け、総合的な「モータリゼーション」を目指しているのは、運営する株式会社スピードパーク新潟を昨年立ち上げた中村寿和社長です。
 人生の半分以上をモータースポーツに関わって、こだわってきました。

 自動車販売会社、自動車学校指導員を経て、私が代表をしているNSGグループの新潟工科専門学校に勤務していた2000年、中村社長は、全国で初のモータースポーツ科を立ち上げました。
 自動車整備士の資格を取る専門学校は全国に数多くあれど、本物のレーシングチームさながらの実習をそのままカリキュラムに持ち込み、実際にレースに参加させ、それが単位になる学科は全国初の試みでした。業界と同じシステムを小さなクラスに作ったわけです。既存の学科では行き場がなかったレースの世界に夢追う若者たちが集まりました。
 実習として参戦したカートレースは、学生チームながら初年度から早くもブロック大会入賞、全日本三年連続参戦。その後参戦したフォーミュラーKeiでも常に表彰台に上がるという快挙を成し遂げました。
 おかげで、学校からの優秀な人材創出は業界からも高く評価され、近年レース業界に新規で就職する5割以上がGIA専門学校新潟国際自動車大学校(2004年新潟工科専門学校から自動車関係学科が独立し国際自動車工科専門学校として開校、2007年より現校名)モータースポーツ科の卒業生ですし、現在、GIAは県内のみならず、近県、首都圏の高校生から、レースに参戦できる学校として広く認知されています。
 中村社長は、一方でご自身も同時期に競技者として活躍していました。
18歳での2輪に始まり、カート、ジムカーナ、フォーミュラーの現役競技者として数々のレースに参戦。’97のフォーミュラージュニアでは年間ランキング6位、’98には、ホンダからF3の話があったものの諸事情により断念、2000年の筑波サーキットのN2車両イベントで優勝を最後に引退されるまで競技者として活躍しました。
 今回、この育成と競技で培ってきた経験、人脈を活かすべく、モータースポーツがあまり浸透していないこの新潟の地で、また新たな夢 ―総合的な「モータリゼーション」確立に向かって中村社長は走り始めました。そのスタート地点がこの「スピードパーク新潟」です。

 カートというと、知らない私たちはよくゴーカートをイメージすると思います。実はレーシングカートは、世界最高峰のF1を頂点としたモータースポーツのピラミッドの底辺を支える立派な競技です。F1ドライバーの9割は、カートでキャリアをスタートさせています。ライセンス取得も4歳で可能であり、幼少時からの育成が可能なスポーツです。
 本場イタリアでは、散歩がてら公園に子供のカートレースを見に行くくらい日常的にキッズカートが普及していますが、日本での普及は近年関東・関西を中心に始まったばかり。JAFが認定するカートコースも全国に60ほどありますが、これまで新潟県には長岡の1ヶ所しかありませんでした。この日本海側初の全日本レベルの本格的コースの設立は、新潟で将来競技の世界を目指す人には願ってもない朗報です。
 サッカー不毛の地と呼ばれた新潟に、サッカーがこれほどまでに普及しました。この前例を見ますと、環境が整い幼少時からの育成が可能になれば、地域総合型スポーツの名の下、レースチーム「アルビレックス」が出来る日も決して夢物語ではないと思います。中村社長にはモータースポーツの分野で世界にチャレンジする人材をぜひとも育成してほしいです。
 もちろん、競技ではなくホビーとしてのモータースポーツを楽しむ人もこの施設を気軽に利用できます。カートコースのほか、併設の多目的広場やミニオフロードコース、そしてカートも低料金でこの施設では借りることができますし、ほかに関東でも人気の高いエコ・安全運転に繋がるような二輪・四輪安全運転講習会など、近いうちに企画されることと思います。
 また、自動車会社やタイヤメーカーの新作発表会、試乗会などの開催、冬の雪の多さを活かした滑りやすい路面の練習やテスト走行、更には近隣の雪捨て場とスノーモービル体験場の一石二鳥企画もあがっているようです。この施設での総合的な「モータリゼーション」確立に向けてのアイデアに限りはありません。

 今回施設設立に当たり、地元の胎内市、商工会議所、関係者の方々からずいぶんとご協力をいただき、今後もバックアップ体制をご了承いただいています。地元全体で盛り上がろうという機運が何より素晴らしいです。
 もし、全日本選手権、アジア選手権など各種公式競技大会が誘致された場合、他県の例からも、大会関係者の滞在に加え県内外、海を越えたアジアからの集客も予想され、地元への経済効果は非常に高いと予想されます。また、新潟県、胎内市が、メディア・専門誌等で多く取り上げられる機会が増えれば、知名度アップ、イメージアップも望めますので、大会誘致は切望されるところです。

 私は、夢を追い続けてきたこれまでの中村社長を考えるに、この施設はきっと成功すると信じています。総合的な「モータリゼーション」確立の夢、私も協力を続けていくつもりです。
 皆様もぜひ機会があれば、この「スピードパーク新潟」に足を運んでいただきたいと思います。

「スピードパーク新潟」    http://www.speed-p-niigata.jp/
  ※4月5日竣工式・イベントがあります。
  白バイ先導による交通機動隊パレード、県内モータリゼーション関係者ご協力による各種競技(キッズカート、
  小学生ポケットバイクなど)、ジムカーナ有名選手デモ走行など。入場無料。

池田 弘