【コラム第33回】 新潟の町並みにベロタクシー登場



 最近、卵型のかわいらしいフォルムで、派手な広告をペイントして人を乗せて走っている三輪自転車を、新潟市中心部やイベント会場などで、よく見かけるようになりました。これが、昨年秋新潟に上陸した話題のベロタクシーです。

 ベロタクシーは、1997年にドイツの首都ベルリンで生まれ、地球温暖化防止に、観光ガイドに、ちょっとした用事に使う近距離交通手段として、動く広告メディアのひとつとして世界中から注目を集めています。外国生まれですが、ルーツは人力車。人力車は、明治期の日本で技術開発・生産され、国内で急速に普及、海外にも輸出されました。輸出されたアジアでは、人力車によるタクシーが地域社会に根付き、それが次第に自転車に変わっていき、今日のアジア各地で見られる自転車タクシーに定着したということです。
 日本でのベロタクシーは、2002年に京都で運行が始まり、2005年の「愛・地球博」で日本各地から訪れた多くの人の目に触れることとなり、現在全国の観光地で普及が進んでいます。
 
 このベロタクシーの新潟での仕掛け人は、毎年「萬代橋誕生祭」で人力車の運行を買って出ていた、NPO法人『堀割再生まちづくり新潟』の代表の川上伸一さん、同事務局長でもあり『新潟レンタサイクル』で新潟中心部のエコ交通に一役買っている高橋正良さんら有志。彼らが新潟の情緒豊かな町並みに似合う人力車を常時走らせようと模索しているなか、冬でも運行可能なこのベロタクシーに巡り合ったそうです。
 私は、丁度この頃、このベロタクシーの話や、新潟の街への思いいれを川上さんたちから聞いて、新潟市中心部の活性化で意を同じくすることから、大変興味を持ち、協力をさせていただくことにしました。
 その後、川上さんや高橋さんが中心になって、昨年7月に「株式会社サイクルシティにいがた」を設立。新潟での運行準備を進めるなか、昨年夏の「萬代橋誕生祭」で福島県喜多方からベロタクシーを招聘し、新潟での初お目見えを成功させました。10月には、ドイツに発注した3台のベロタクシーが到着。カラフルなペイントの広告を載せて10月7日には、篠田新潟市長や小島隆新潟県議会議員、古町商店街の方たちが見守る中、私も参加させていただき、発車式が行われました。
 それからは、エコや環境問題、観光の視点から注目が集まり、地元のラジオ、新聞などマスコミ各社に取り上げられ、「食と花の世界フォーラムにいがた」や「にいがた食の陣」、「NIIGATA光のページェント」点灯式などの新潟の大きなイベントはもとより、商店街の行事や小学校・幼稚園の文化祭、バザーなどにも招かれ、だんだんと皆さんに周知されて、ファンの方も増えてきたところです。
 もちろん、七五三の記念に新潟の街めぐりをされたご家族や、ちょっと試しに乗ってみられた方も少なくありません。
 ベロタクシーは、とにかく何処に行っても人気者です。それは、走っている姿が街を明るくしたり、かわいいというばかりではなく、ベロタクシーに乗っている間の「ベロ時間」に他の乗り物にはない特別な魅力があるからかもしれません。
 「ベロ時間」━これは、時速8㎞のスピードで、街並の情緒や賑わい、季節などを肌で感じながら、その街だけにある空気を思いっきり吸い込み、ナビゲーターと呼ばれる運転手兼ガイドさんと会話を楽しむ、そんなゆったりと流れる時間のことだそうです。
 いつもの町並みが違って見えたり、バスや自動車では知り得なかった発見があったり、人のぬくもりを感じたり・・・。それがベロタクシーの醍醐味がなのでしょう。つまり、ただ単に人を乗せて移動するだけの乗り物ではないということです。

 既に新潟島の各所には、ベロストップという停留所もでき、毎日運行可能になる春が待ち遠しいところですが、現在も一般のタクシー同様、走っているところに声をかければ乗せてくれます。
 また、近距離交通として、高齢者の方々が買い物に使ったりもできます。
 観光用には、旧新潟町の代表的な町めぐりができる選りすぐりの3コースが用意されています。上古町・本町コース(新潟の歴史散歩と台所めぐり)、西大畑コース(料亭と洋館の入り混じる街)、下町コース(港町ゆかりの地めぐり)。観光客ならずとも、新潟の人でも意外と知らない街並をじっくり見ることができます。
 その他利用の仕方は工夫次第、それもベロタクシーならではです。

 今後、長い時間をかけて街中の近距離交通手段のひとつとして普段使いになるまで、また観光で県外から来られた方たちへのおもてなしのひとつとして定着するまでには、まだまだ時間はかかると思います。
 しかし、代表取締役の川上さんは、「水の都・新潟」の美しい町並が長い時間をかけて創られて私たちの生活に溶け込んでいるように、ゆっくりとベロタクシーも街に浸透していけばよい、といいます。
 そして、いつかエコ・環境意識先進国である出身地ドイツからも、更には世界中からも「新潟は町並みの中にエコがある世界有数の街」と言われる日を夢見て、ベロタクシーを広めていきたいとのことです。
 私も、地域活性化、観光の一助としてベロタクシーには期待をしています。そのためには、もっと多くの企業・個人の方に知っていただいて、ご賛同、ご協力を得られればよいと思っています。
 まずは、皆さん、ぜひ一度、新潟の街を「ベロ時間」で体感してみて下さい。
 きっと楽しめると思います。

 ※ベロタクシーのブログ→ 新潟:ニイベロブログ                                                http://niibero.exblog.jp/
 ※新潟市上古町商店街振興組合公式ウェブサイト内 ベロタクシールートマップ                  http://www.kamifuru.info/velotaxi.html

池田 弘