【コラム第24回】 北信越ベースボール・チャレンジ・リーグ開幕

 いよいよ、北信越4県民の新たな夢を乗せてプロ野球独立リーグ、北信越ベースボール・チャレンジ・リーグが4月28日に開幕します。
 我等が県民球団新潟アルビレックス・ベースボール・クラブは、三条市民球場で富山サンダーバーズ迎え、信濃グランセローズVS石川ミリオンスターズ戦が長野オリンピックスタジアムで行われます。今年は1チーム当たり、ホーム36試合、ビジター36試合が予定され、観客動員目標は1試合当たり5,000人、新潟県では県内14球場が試合会場になります。このリーグの最大の特徴は、サッカーJリーグと同じ『地域密着』になりますが、ホームスタジアムを限定する形式のJリーグとは異なり、特定の地域に偏ることなく県内全域の球場を使用します。各球団は、地域に出向いて試合をし、地域の皆さんからより身近に応援をいただき、ファンになってもらって選手の成長を見守っていただく、まさに全県下に『地域ど密着』の県民球団を目指しています。『地域ど密着』は、楽しく感じるスタジアム作りであるボールパーク化、巡回型野球教室による普及活動、地域振興イベントや地域のボランティア活動への積極参加などを通じ、今後いっそう皆さんに感じていただけることでしょう。
 
 さて、この北信越ベースボール・チャレンジ・リーグという名前には、リーグ、そして選手・監督・コーチなどリーグに関わる全員が野球事業を通じて様々なチャレンジをしていくという意味と、野球を志す若者がチャレンジできる場を地域に創造するという強い決意が込められています。
 このチャレンジ物語の始まりは、2005年2月、当時サッカーのアルビレックス新潟の後援会組織で専務理事をしていた藤橋さん(現在:㈱新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ専務取締役)が、現リーグ社長である43歳の村山哲二さんを私のところに連れてきたことに始まりました。当時の村山さんは、広告代理店の広告担当として、サッカーのアルビレックス新潟が徐々に浸透し、新潟が活き活きと変わっていく様子を現場で体感していました。それに強く心を動かされていた熱烈なアルビサポーターでもありました。同時に彼は、中学・高校・大学生活を野球に注ぎ込んだ『野球少年』でした。彼は、地域を劇的に活性化させたのが、それまで普及が進んでいなかったサッカーで、何故野球でなかったのか、という疑問を以前から強く持っていたようでした。3人の話は、サッカー、バスケットに続いて、新潟から発信するのは間違いなく野球だということで盛り上がりました。野球はもともと観るスポーツとしても潜在人口の多いスポーツですし、早起き野球チーム数日本一の新潟であればなおのこと、その野球熱で一層地域を盛り上げていくことができるだろうということになりました。ちょうどこの時期は、彼の大学の先輩である石毛宏典氏が立ち上げたプロ野球独立リーグの四国アイランドリーグが開幕直前で、地方での独立リーグの機運は高まってきていたと思います。彼も彼自身が体感しているアルビレックス新潟をお手本にすれば地域から支えられる形で、地方でもプロ野球が不可能ではないという確信を持っていました。熱心に野球を語る彼の目は輝いていて、私は精一杯の応援をするからぜひとも実現に力を注いでみないかと、いつのまにか説得を始めていました。彼の一途な姿勢がとても素敵でした。
 その後、村山さんの協力のもと藤橋さんが室長としてリーグ開設準備室を開設、はじめの頃は広告代理店に勤めたまま、協力していた彼も、とうとう意を決して会社を辞め、2006年4月に合流しました。

 昨年5月、村山さんが私のところに古くからの友人で自分に負けない『野球ばか』だという人を連れてきていました。その人は、村山社長の夢に意気投合してぜひ一緒にやりたいという意欲を持っていました。親しみやすい物腰ながら意思の強い眼が印象的な彼は、その後長年勤めた食料品スーパーの店長をきっぱり辞め、全く畑違いであるプロスポーツの世界に飛び込んできました。それが石田慶太郎さんでした。

 リーグ構想発表後、7月にリーグ運営会社である株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティングを村山さんが設立、翌月には株式会社新潟アルビレックス・ベースボール・クラブが設立され石田さんが代表取締役に就任しました。地域で新しい野球界を創造していくふたりの若手起業家の誕生でした。

 村山社長と彼を信じるリーグスタッフは、その後各県の県民球団設立のために奔走しました。新しいものを創っていくのには相当なエネルギーが要るものです。賛同者を得るのに困難を極める中、やっと話を聞いてくれた人は、やはり根っからの『野球ばか』だったそうです。彼等の情熱が各地域で眠っていた魂を目覚めさせ、地域の人達が地域のためにお金を集めて運営する球団が、富山、長野、石川で決まりました。その後11月には、新潟の後藤監督をはじめ、各球団元プロ野球で活躍した実力派の監督がやはり熱意にほだされ就任を承諾してくれました。

 開幕まで時間がない中、必死で頑張ったのは各球団も同じでした。チーム作りに集中する監督、コーチ、選手たちを見守る一方で、スタッフは後援会組織立ち上げに県内を駆回りました。新潟アルビレックス・ベースボール・クラブは、地域総合型スポーツクラブ構想の中で『アルビレックス』の名を同じくする、サッカー、バスケットボール、陸上、スキー・スノーボード、チアリーディングの次に続く『アルビレックス』として位置付けられています。「次のアルビは、絶対野球に違いない。」と待ち望んでいた声に助けられる中、見附、糸魚川地区後援会が既に発足、上越、長岡も5月発足が決定しています。今年中に、リーグの掲げる『地域に密着し、細分化された地域後援会を基盤とするサポーター組織の確立』の下、県内14会場分の14後援会の立ち上げが目標です。スポンサーさんの大きな支援ももちろん重要ですが、県民球団のあるべき姿としては、地区後援会組織を通じて小さな熱い支援を多くの方からいただくことが基本です。地区後援会がクラブを集客面、財政面でも大きく支援していることはアルビレックス新潟でも実証済みですが、野球では後援会を通じたコミュニケーション・コラボレーションをより一層大切にして、今までの『アルビレックス』以上に地域にとことん密着する意気込みを持ってサポーター組織を確立していくようです。

 私はよい時期に素晴らしいエネルギーを持つ若者たちに巡り合いました。その出会いに感謝し、彼らが始めた新しいプロ野球独立リーグと『地域ど密着』の次なる『アルビレックス』がどう育っていくのか、どう育てていくのか、引き続き見守り、精一杯支援していきたいと思っています。
 富山、長野、石川県民の皆さん、そして新潟県民の皆さん、スタートしたばかりですので、皆さんの温かい応援が大きな頼りです。ぜひとも宜しくお願い致します。

池田 弘