【コラム第20回】 日本海横断航路

 10月初旬、新潟経済同友会の海外視察で、韓国・東海岸北部にある束草(ソクチョ)市を訪れました。今回の視察の目的は現在日本・韓国・ロシア・中国の四カ国で協議が進められている新潟港 – トロイツァ港(旧ザルビノ)間の日本海横断航路開設事業の可能性を探ることでした。
 新潟にとって日本海を船で越え大陸と交流することは長年の悲願です。
 束草市には「東春フェリー株式会社」というフェリー運航会社があり、既に六年前から束草港―トロイツァ港間を航路、トロイツァ港―中国東北部間を陸路で直結した海陸輸送ルートを実現しています。この現行航路の寄港先に新潟港を加えた三角航路案を現在この会社が表明しています。
 私たち一行は、蔡龍生市長を公式訪問し、新潟市との今後の経済・文化交流について有意義な意見交換をさせていただいたあと、「東春フェリー株式会社」白晟昊社長のご案内で同社フェリーに乗船させていただきました。 フェリーは約13,000トンで、旅客定員は649人、収容可能なコンテナは長さ約6m、高さ・幅が約2mのもので換算すると132本。週3便の束草港とトロイツァ港間の運航は約15時間、中国東北部琿春市までの貨物輸送は陸送で約60kmです。
 この航路に新潟港を加えた三角航路の実現は、琿春市と新潟を約48時間で結ぶことになります。現在中国東北三省まで釜山経由で新潟まで13日かかっていることを考えると時間だけでなくコストも大幅削減される画期的な航路といえます。日本からは中古車や家電製品、中国東北部からはアパレル製品や木材加工品の輸送が十分に見込まれています。
 実現すれば、既存の物流ルートに変わり東北アジア地域の貿易を牽引していく可能性が非常に高い航路です。日本の玄関として、また物流の拠点として新潟が果たす役割が重要視されることでしょう。また観光客誘致においても、東京まで二時間弱という立地優位性も活かし、東北アジア諸国に国際都市新潟をアピールできるチャンスも生まれます。新潟の国内競争力も上げる一つの要因になるでしょう。
 もちろん実現に向け日本側の受け入れ態勢にさまざまな準備が要ります。安定運航には四カ国の連携・協力、また本県でも官民一体となった取り組みも必要です。
 近年東北アジアの国々は急速に経済的な実力をつけてきていることからまたとない好機が今まさに到来していると思います。出来るだけ早期実現に向けて努力したい思いはますます膨らみました。
 多くの船が日本海を往来する様子が目に浮かびます。来年政令指定都市になる新潟がかつて北前船で賑わった江戸時代のように日本海の中心の港町として復活するのもそう遠くないと感じました。

池田 弘