【コラム第82回】 経済同友会で台湾を視察

 新潟経済同友会の今年度の海外ミッションで台湾を視察してまいりました。親日感情が強く、東日本大震災時には多額の支援をいただいた台湾を、経済面や観光面から見て参りました。
 新潟と台湾はこれまで、企業間や交通手段などあらゆる面で今一つ活発とは言えない状態でした。対して近くの県を見ますと、金沢では小松から直行便が出ていますし、富山でも今度直行便が出るという事です。今後、能登や立山のインバウンド観光は、より一層活発化して行くと思われます。
 今回の、新潟経済同友会としては初めての台湾視察で金沢と台湾の活発な交流を目の当たりにし、新潟もなんとかしなければならないと真摯に考えさせられました。
 台湾からは東日本大震災の際に多額の義援金をいただきました。また台湾からはたくさんの観光客が日本を訪れています。そして台湾には、日系企業のお店や日本語の看板も目につきます。日本とはとても親和性が高く、日本を良く知っていてくれる国です。
 国交の無い台湾には大使館はありませんが、日本の対台湾窓口機関「交流協会」があり、台北市と高雄市に事務所を置いて実質的な経済交流を続けています。いろいろ微妙な立場にある台湾と交流を行っていくには、中国本土との関係にも気を使わねばならないという面もあるのは事実です。
 政治的にはデリケートなポジションにある台湾ですが、その一方で「もの作り」の拠点としては、韓国と競うほどの発展を見せるエリアでもあります。
 アジアには、中国を初めとして韓国、香港、シンガポール、インドネシア、タイなど経済的にとても可能性に満ちた国々があります。場所的にその中間地点にあるのが台湾で、その意味でもとても重要なポジションを占めています。
 金沢に本社を置く高級ブランドのリサイクル店「ブランド・オフ」が、台湾に出した店舗も視察してきました。ブランド・オフは、新潟に本社を置く「ハード・オフ」が筆頭株主です。
 金沢と台湾は2時間半の空路で結ばれており、行政も台湾との交流を積極的に後押ししていると聞きました。このように地方都市であっても、台湾とのパイプ拡大に積極的な行政機関の姿勢は、新潟も見習うべきだと思いました。
 これからの新潟にとって、大事なポジションになってくるであろう台湾とは、「直行便」も考えねばならぬ課題でしょう。
 中国総領事館の置かれた新潟ですので、政治的にはなかなか複雑な面もあるかもしれません。しかし大いにディスカッションをして、経済交流の場をひろげていくべきです。
 また今回の視察では、柏崎に工場のある「リケン」が台湾に設立した子会社の工場も見てまいりました。その折には、その子会社が中国本土に工場を作り順調に稼働しているという話もお聞きしました。そうした先駆的ケースをいろいろ見て、課題も可能性も浮き彫りになったとても有意義な視察でした。

池田 弘