【コラム第85回】 「明和義人」コミックが完成

 江戸時代に新潟湊(現在の新潟市)で行われた町民自治を描いたコミック「明和義人」」が発刊されました。既に書店に並んでいますが、もうご覧になられたでしょうか。
 このコミックは、江戸中期に起きたいわゆる「明和騒動」を漫画化した作品です。作画者は日本アニメ・マンガ専門学校の卒業生で、プロの漫画家として活躍中のアサミネ鈴(すず)さん。原作は新潟市出身の作家火坂雅史さんの小説「新潟樽きぬた~明和義人口伝」です。
 明和騒動は、1760年代に長岡藩が新潟町に課した重税をきっかけとした町民一揆に端を発し、町民たちが藩に代わって自治を行ったという歴史的上の事実です。
 町民たちのリーダーになった涌井藤四郎ら2人は打ち首になりました。新潟湊の人達はこの出来事を誇るべき史実として口伝で語り伝え、藤四郎らは愛宕神社の境内社の口の神社に祀られ、「明和義人」と呼び称されて来ました。
 湊新潟の人たちの素晴らしいDNAを改めて感じることができるこの作品の発刊にあたり、この夏、古町の「明和義人館」で記者会見が行われました。会見には、作画者のアサミネ鈴さんをはじめ、原作者の火坂雅史さん、明和義人祭実行委員会委員長の長谷川義明さんが出席しました。
 TV局や新聞社が取材に訪れた会見で、コミックの出来栄えを記者に問われたアサミネさんが「満点の出来です」と答えれば、火坂さんも「満点です」と返す、和やかな雰囲気のものとなりました。
 明和義人をめぐっては、涌井籐四郎と岩船屋佐次兵衛が処刑された8月25日に合わせ、今年も明和義人祭が行われました。晩夏の上古町、新潟芸妓さんなどの参加も得て、晩夏のひと時、義人たちを偲びました。
 毎年盛んになってゆく明和義人祭、そして今回のコミック「明和義人」の発刊。わが新潟に実在した自由と自立を求めた精神を描いたコミックで、素晴らしいその歴史に思いを馳せてはいかがでしょうか。

池田 弘