【コラム第68回】 エンジン01オープンカレッジIN長岡

 過去最大の参加者数となったエンジン01オープンカレッジが2月18日から3日間に渡って長岡市で開催され、参加者や聴講者に素晴らしい想い出を残して閉幕しました。エンジン01文化戦略会議は、作詞家の秋元康さんや作曲家の三枝成彰さんなど各分野の表現者・思考者たちが中心となって、「異分野の知の結集を図ろう」と、2001年に立ち上がったものです。素晴らしい文化を持つ日本が、これからも新たな文化を育てていける土壌を作るために、芸術・科学・文化・スポーツから経済まで、異分野の才能が結集して議論し交流し、21世紀の日本を照らす「円陣」となることを目指すものです。オープンカレッジは、シンポジウムやワークショップや講座を行うイベントで、年に1回地方都市で開催されます。今回の長岡開催は、過去最大規模となる66講座のチケットがすぐ満席になるほどの人気で、聴講者は1万5000人と、長岡の皆さんのこのイベントへの共感を示す盛況ぶりとなりました。

 今回のエンジン01オープンカレッジIN長岡では、私も実行委員を務め、「茶・茶・茶道ワークショップ」「散る桜残る桜も散る桜~良寛論」「栄光の架橋へと・・・~スポーツ感動話」の3つのワークショップでお話をさせていただきました。茶道のワークショップでは、「これまでの人生で味わったお茶や他の飲み物についての印象深い話」を語る場面がありました。思い起こしたところ、「あるお茶の味」の想い出が頭に浮かび、そのお話をさせていただきました。それは、神主の家に生まれた私が氏子さんの家を回る時に出されたお茶の味です。それぞれの家の家族構成や間取りがみな違うように、家々のお茶の味も千差万別みな微妙に違うのです。それがどれも不思議と、その家のことを物語っている味のように思えました。渋く、甘く、苦く、時には爽やかな、時には喜びの、時には悲しみの味がしました。また「散る桜残る桜も散る桜~良寛論」のワークショップは、井沢元彦さんが進行役を務められ、長岡市の森市長も参加されました。この中では、晩年の貞心尼との恋に見る良寛さんの人間らしい面についてのお話で盛り上がりました。そんな良寛さんの一面も私は大好きなのです。話ははずみ、「全国に良寛会がある理由」ですとか、「一休さんと良寛さんの比較論」等々、その場ではなかなか結論の出ないようなテーマにも及び、充実した良寛談義になったと思います。また、「スポーツ感動話」のワークショップでは進行役も兼ねて、アルビレックスをめぐるいろいろなエピソードをお話させていただきました。

 最終日には、クロージングイベントの会場で、「新潟ブルース」の替え歌「長岡ブルース」を披露させていただくという幸運に恵まれました。ボイストレーニングを受けていることは、前にこのコラムでお伝えしましたが、大勢の方の前で歌うようなレベルでないことは良くわかっていますが、そんな私の唄にいただいた長岡の皆さんの暖かい拍手には感激でした。今回は、茂木健一郎さんらがツイッターでシンポジウムの様子をドンドンつぶやいたり、田原総一朗さんやホリエモンをゲストにニコニコ動画で生中継したりと、メディア的にも活発な発信がありました。開催期間の3日間、参加された文化人の皆さんにとっては、雪や花火などのビジュアルな印象に加えて、長岡の「人情」や「文化」や「食」をお知りになる機会になったことと思います。オープンカレッジIN長岡でのいろいろな場面により、心の中にそれぞれの長岡の印象を記憶していただいたことと思います。また長岡の方々にとっても、今回のイベントは大きな財産になったと思います。各分野での最先端の感性に触れたのは、大きな刺激になったのではないでしょうか。

池田 弘