【コラム第93回】 私の思い ~渋沢栄一賞受賞に寄せて~

 このたび、第11回渋沢栄一賞受賞の栄誉に浴することができ、身に余る光栄です。これもひとえに日頃の皆様からのあたたかいご支援、ご協力の賜物であると感謝いたしております。
 さて、昨年12月に発足した第2次安倍政権は、いわゆるアベノミクスの3本の矢を文字通り矢継ぎ早に放ち、沈滞していた日本経済のムードを一気に明るい方向へと変えることに成功しました。現在は、そのムードを実体経済の変化に繋げるべく、特に第3の矢である成長戦略の具体化が急がれております。
 そこで、特に経済の低迷と人口減少に悩む地方からの成長戦略の提言を、この機会に以下にお示しさせていただきます。

1)    地方の発展なくして日本の発展なし。地方の個性を活かした自律的な地域経済活性化を実現する。
 中央からの補助金に依存し、大企業の工場進出に頼ってきた地方の経済は、政府の財政難と経済のグローバル化に伴う工場の海外移転により、すっかり疲弊してしまっている。今こそ地方から声を上げ、自律的な地域経済の活性化に向け、一歩を踏み出すべきである。

2)    1)の端緒として地方に「総合ベンチャー特区」を設置し、ベンチャー創出のプラットフォームを構築する。
 エンジェル税制を緩和・拡大し、特に地域密着型オーナー企業を中心としたエンジェルファンド(通称“旦那ファンド”)にも適用可能とする。地域に根を張る彼らがメンターとなり、プロのGPを支えながら起業家にリスクマネーを提供する。その上で、地方金融機関や政府・自治体、民間ファンドが資金・人材・情報をネットワークし、サポートする。また投資の出口として、地域版グリーンシート市場も開設し、ベンチャー企業をシームレスに育成するプラットフォームを構築する。

3)    2)を通じ、地方発のグローバル企業、グローバル人材を育成する。
 明治維新も、戦後復興も、地方から多種多様な人材が現れ、日本の発展に尽力し、今日の日本がある。地域の大学や教育機関とも連携し、地方から直接雄飛する企業や人材を育成し、日本の発展に寄与する。

 近代日本資本主義の父とも言われる渋沢栄一翁も、困窮した幕臣の救済を図るため、静岡にて商法会所(官民の出資した合本組織)を設立し、それが明治維新の殖産興業の端緒となったとされています。今回の受賞を機に、少しでも翁に近づけられるよう、胸の内をお示しさせていただきました。これらの思いを一日も早く実現できるよう努力してまいりたいと考えております。

池田 弘