【コラム第97回】 新潟を、農と食の最先端都市に

 新潟は農と食の分野で大きなポテンシャルを持っています。しかしこれまでは、コシヒカリなどの素材の優位性に頼り過ぎて、創意工夫が足りなかった面も否めません。
 私が筆頭代表幹事を務める新潟経済同友会は、このほど新潟市に対し「日本海側への機能分散と拠点の創設を」と題した、国家戦略特区に関する提言を行いました。その中の第Ⅱ章は「新潟を世界の農業・食品産業の最先端都市に~世界の食をリードするニューフードバレーの推進~」と、農と食に関する内容となっています。
 この提言の中で新潟経済同友会は、「農業を成長産業へと導くためには、農地の集積による規模拡大や6次産業化が必要である」としています。

 新潟市は「ニューフードバレー」構想を推進してきました。これは、「生産・加工・販売」を一体的にとらえ、シームレスにつなげていこうという考え方です。
 そして新潟を、世界に開かれた食の流通拠点としての食料輸出入基地とし、世界の「農業・食品産業」の最先端都市にするという目標を掲げています。
 新潟経済同友会は新潟市に対し、「ニューフードバレー構想」の実現を図るために、農業生産法人や合弁企業の税法上の優遇措置や、農地集積の推進、さらには食材の高度利用と高付加価値化、オリジナルの食品への表示制度創設、発酵食品の開発などを推進していくべきであると提言の中で訴えています。

 先日私は篠田新潟市長と共に、新潟経済同友会の筆頭代表幹事として政府に対し、大胆な規制緩和を特区地域で行うことなどを求める要望を行いました。
 その要望の中で、「ニューフードバレー特区構想」の実現を図るための、食品流通や農業の規制緩和を求めています。すなわち企業による農業参入条件の緩和、農家レストランの設置を進めるための土地利用規制の緩和、食品流通に関わる規制緩和などです。

 新潟でも、アジアをそして世界を目指そうという農と食の取り組みは始まっています。新潟クボタは「香港への新潟コシヒカリの輸出」というプロジェクトを行っています。
 消費するコメの全量を輸入に頼る香港では、原則関税フリーの自由貿易が行われています。新潟クボタでは、コメの劣化を「玄米で輸出し低温倉庫で保管、納品前に現地精米」するというチャレンジで防ぐことにより、需要を開拓しました。
 昨秋は240トンの新潟米を輸出しましたが、今年は400トンを、さらには早い時期に1000トンを達成したいとしています。新潟クボタは、クボタグループと共に、シンガポールやモンゴルも輸出先として開拓していく方針です。
 大きなポテンシャルを秘めた「新潟の農と食」。その取り組みは始まったばかりですが、農と食のクラスターとして、発展するアジアの中で新潟が存在感を増していくことに、大きな期待を寄せています。


池田 弘